【公務員試験対策】教養問題にはあまり力を入れない方がいい理由

今日は公務員試験について書きます(ノ)・ω・(ヾ)

後輩が公務員試験を受けているのでアドバイスをしているのですが、教養問題がうまいこと解けなくて悩んでいるようです。どの問題が解けないの?と聞いてみたところ、例として障害者の雇用に関する問題を挙げてきました。

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障害者の雇用等に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。

(労働基準監督官/専門/択一)

ちなみに、問題文では「妥当なものを」「正しいものを」「誤っているものを」「正しくないものを」等の指示がありますので、必ず丸でチェックを付けます。誤っているものを選ぶ問題で4肢(あし、選択肢のこと)ある正しい設問を「何だこの問題、簡単じゃんw」と選んでしまうのを防げます。

この問題は「障害者白書(平成25年版)」「障害者の雇用の促進等に関する法律」「障害者雇用実態調査(2008年)」「厚生労働白書(平成25年版)」の知識を問うものですが、じゃあこの白書や法律を読んでないと解けないかというと全くそんなことはないのです。国語力である程度対応できます。仮に難しくても2肢まで絞り込めれば正答率50%ですので、解ける問題で稼げることを考慮すると意味不明な分野でも50%取れれば少なくとも不合格にはならないでしょう(・ω・)ノ

なお、補足ですが行政文章や弁護士・裁判官が作成する裁判書類は句点を「、」ではなく「」で表記します。今回は「、」に修正しています。

障害者白書からの出題

問題

  1. 内閣府「障害者白書」(平成25年版)により、身体障害、知的障害、精神障害の3区分で障害者数の概数をみると、身体障害者370万人、知的障害者320万人、精神障害者55万人となっている。また、在宅の障害者についてみると、身体障害者では高齢者の割合が低く、知的障害者では高齢者の割合が高いという特徴がある。

解き方

一見障害者白書を見たことがないと難しそうな肢ですが、「身体障害者では高齢者の割合が低く」というところにピンとくれば解けると思います。

身体障害というのは乙武洋匡さんのように四肢がない「肢体不自由」や、佐村河内さんのような「聴覚障害」が有名ですが、治ることはなかなか無さそうですね。むしろ交通事故等の後天的な理由で身体障害を負ってしまい、年齢を重ねるにつれて身体障害を持つ方の割合は増えていくはずです。それに、今の日本では少子高齢化で高齢者の割合は非常に増えているので、高齢者のほうが割合が低くなるとは考えにくいですね。というわけでこの肢は誤り

解説

平成25年版労働白書によると年齢階層別身体障害者及び知的障害者の推移は次の通り。

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出典 障害者の状況(基本的統計より)|平成25年度障害者白書(概要) - 内閣府

身体障害者は65歳以上の割合が60%を超えていますので、身体障害者の半数以上が高齢者と分かります。一方知的障害者の割合は65歳以上が3.7%と低く、身体障害者に比べて高齢者の割合は低いといえます。

障害者の雇用の促進等に関する法律からの出題

問題

  1. 「障害者の雇用の促進等に関する法律」において、事業主は一定の割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用しなければならないとされている。民間企業と国・地方公共団体等への法定雇用率は同一の率が適用されているところであるが、企業負担を軽減するという趣旨から平成25年4月に、それまでの2.0%から1.8%への引下げが行われた。

解き方

「障害者雇用促進法は聞いたことあるけど詳しくは全然わからない」という方が大半なのではないかと思います。しかしこの問題はヒントが多い(ノ)・ω・(ヾ)

わざわざ「〜ところであるが」と取ってつけたように「民間と国・地方自治体の法定雇用率は同一」とありますが、これは怪しい。「こういう人を雇いなさい」と負担を課す法律ですので、その負担を課す国は民間企業より法定雇用率は高いはず、と推測したいところです。それに、仮にこの肢が正しければ「事業主は〜」と書かれているので「全事業主」が対象になります。数万人の雇用能力を誇り税金で活動する中央省庁や都庁・県庁等と同じ法定雇用率を50〜60人程度の財力のない中小企業にも適用するというのはあまり考えられません。

さらに、平成25年4月に法定雇用率の引下げが行われたという部分も怪しい。平成25年といえば安倍政権が発足して勢いがあったころです。福祉国家であり「障害者の暮らしやすい国をつくろう」とする日本で法定雇用率をわざわざ引き下げるというのもおかしい。よほど経済が低迷して規制緩和の必要性が生じたというわけでもなく、経済が上向きはじめたころです。どちらかと言えば法定雇用率は上がる方向なのではないか?と推測できそうです。

というわけでこの肢も誤り

解説

厚生労働省の事業主向けの案内によると、平成25年4月からは法定雇用率は引き上げされていますし、法定雇用率はいずれも国、地方公共団体等の方が高くなっています。

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出典 厚生労働省

なお、法定雇用率が2%ということは50人につき1人の身体障害者及び知的障害者を雇用する義務を負うものですので、従業員数50人未満の事業所は雇用義務を負いません。また、精神障害者の雇用義務は負いませんが、雇用した場合は法定雇用率の計算上雇用した障害者数に加えられます。

障害者雇用実態調査からの出題

問題

  1. 厚生労働省「障害者雇用実態調査」(2008年)によると、事業所で雇用されている障害者の賃金の平均月額は、身体障害者で25.4万円、知的障害者で25.8万円、精神障害者で24.9万円と、ほぼ同水準となっている。この賃金水準は、常用労働者全体の賃金水準よりも若干高い。

解き方

ニュース等で障害者の生活が経済的に苦しい現状にあることを見たことがある人は、「常用労働者全体の賃金水準よりも高い」はずがない、とわかると思います。これも誤り

解説

障害者雇用実態調査によると2008年10月の障害者の平均賃金は身体障害者で25万4千円、知的障害者で11万8千円、精神障害者で12万9千円とあり、特に知的障害者と精神障害者の賃金は非常に低いことがわかります。

厚生労働白書からの出題

問題

  1. 厚生労働省「厚生労働白書」(平成25年版)によると、2012年6月現在の民間企業の障害者の雇用者数は過去最高を更新した。また、2012年度におけるハローワークを通じた障害者の就職件数も前年度よりも増加した。

解き方

障害者雇用促進法がいつ施行されたかは知らなくても、平成25年(2013年)に改正されたということは少なくとも2012年より前に施行されたことは推測できます。

障害者雇用促進法に基づく法定雇用率以上の障害者の雇用は「義務」であり、ニュースを見ると障害者雇用促進法違反で逮捕・起訴されたという話はほとんど見ないと思います。ということは全ての事業主が法定雇用率を満たしているわけではなさそうです。こういった事業主への努力義務は少しずつ浸透していく、だから年々良くなっていく流れなんじゃないか、コンプライアンスを重視する企業が増えているから法定雇用率以上の雇用をしようと努力している企業は増えているんじゃないか、と推測できれば、この選択肢はなんとなく正しいように思えます

こういう場合は肢の左側に「△◯」と印をつけて、他の選択肢の状況を見ながら決める感じです(`・ω・′  )

解説

2012年6月時点での民間企業の障害者雇用状況の集計結果は次の通り。

<民間企業>(法定雇用率1.8%)
雇用障害者数は 38万2,363.5人と前年より4.4%(16,164.5人)増加
また、実雇用率は 1.69%(前年比0.04ポイント上昇)。
→いずれも過去最高を更新
・法定雇用率達成企業の割合は 46.8%(前年比1.5ポイント上昇)

出典 厚生労働省 平成24年 障害者雇用状況の集計結果

民間の雇用者数は過去最高を更新。

ハローワークを通じた障害者の就職状況は次の通り。

ハローワークを通じた障害者の就職件数は、雇用情勢が厳しいにもかかわらず、平成21年度の45,257件から大きく伸び、過去最高の52,931件(対前年度比17.0%増)となりました。

出典 厚生労働省 平成22年度・障害者の職業紹介状況等

こちらも過去最高だったようです。

再び障害者雇用促進法からの出題

問題

  1. 障害者の雇用を一層促進することを目的として、2013年6月に「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正が行われ、法定雇用率の算定基礎の対象から精神障害者を除外することとされた。また、同改正に関して、一連の指導にもかかわらず障害者雇用に改善がみられない企業の企業名を公表する措置については、企業の採用の自由に配慮し実施が見送られたものの、今後の検討課題とされた。

解き方

障害者雇用促進法の改正に関する知識を問うネタ。非常に難しいので、この時点で肢(4)を正解として次の問題に進むのも妥当ですが、時間があれば検討する余地もあります。

まず、「法定雇用率の算定基礎の対象から精神障害者を除外」ですが、法定雇用率の計算から精神障害者を除外すると精神障害者の雇用が促進されません。

刑事免責(いわゆる心神喪失状態)となる殺人事件等で被告人が無罪となるような状況を想定されることが何かと多い精神障害ですが、障害者雇用促進法が想定する障害者は職務を行うことができると企業側が面接で判断した者ですから、面接に来た人を全員雇わなければいけないわけではなく、実際に採用されるのは軽度のうつ病やパニック障害といったケースが多いのではないかと思います。

とすると、職務を行う上で大きな支障は生じない程度の精神障害を持つ方を雇用しても法定雇用率の計算から除外されるというのは、障害者雇用促進法の趣旨からすると考えにくいですね。

他にも問題点はあります。企業名の公表措置は見送られた点について、理由が「企業の採用の自由に配慮」とありますが、企業の採用の自由に配慮するのであればそもそも障害者雇用を義務付ける法律自体が見送られるべきですし、社会福祉の観点から企業側の採用の自由を制約してでも障害者雇用を促進するのが目的で立法したのであれば努力義務を果たしていない企業は何らかの措置を講じるべきです。

全体的に違和感があるのでこの選択肢も誤りに思えます

解説

なお、調べたところ2013年の改正では「精神障害者を法定雇用率の算定基礎の対象に加える」ことになっています。

2.法定雇用率の算定基礎の見直し

法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える。ただし、施行(平成30年)後5年間に限り、精神障害者を法定雇用率の算定 基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする。

出典 山口県 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要

企業名公表措置については、2013年改正前から既に条文に記載されています。

(一般事業主の身体障害者又は知的障害者の雇入れに関する計画)
第四十六条 厚生労働大臣は、身体障害者又は知的障害者の雇用を促進するため必要があると認める場合には、その雇用する身体障害者又は知的障害者である労働者の数が法定雇用障害者数未満である事業主(特定組合等及び前条第一項の認定に係る特定事業主であるものを除く。以下この条及び次条において同じ。)に対して、身体障害者又は知的障害者である労働者の数がその法定雇用障害者数以上となるようにするため、厚生労働省令で定めるところにより、身体障害者又は知的障害者の雇入れに関する計画の作成を命ずることができる
(中略)
4  事業主は、第一項の計画を作成したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
5  厚生労働大臣は、第一項の計画が著しく不適当であると認めるときは、当該計画を作成した事業主に対してその変更を勧告することができる
6  厚生労働大臣は、特に必要があると認めるときは、第一項の計画を作成した事業主に対して、その適正な実施に関し、勧告をすることができる

(一般事業主についての公表)
第四十七条 厚生労働大臣は、前条第一項の計画を作成した事業主が、正当な理由がなく、同条第五項又は第六項の勧告に従わないときは、その旨を公表することができる

法定雇用率に見たない事業主(会社)には、厚生労働大臣が障害者雇入れ計画の作成を命じ(46条本文)、提出させ(46条4項)、不当な場合は変更を勧告し(46条5項)、適正な実施を勧告し(46条6項)、それ(一連の指導)にも関わらず正当な理由なく改善が見られなければ企業名を公表(47条)する、と規定されています。

まとめ

というわけで、「〜白書」といった中央省庁の調査資料等を読み込まなければ公務員試験に受からないということはない、ということです。

公務員試験で最も重要なのは法学・経済学で、その次に財政学・経営学・戦後の日本経済史及び世界経済史、IMF等の国際機関の名称とその役割等、あとは最新のニュースなどです。最新のニュースは、例えば東日本大震災、災害対策、憲法改正、アベノミクス、原発問題などが挙げられます。

数的処理は勉強してなんとかなる分野でもないので、足切りにならないように気をつければ良いと思います。解き方は決まっているので本を一冊やれば良いと思います。

数学・理科・日本史・世界史・思想等の分野は範囲が膨大な割には出題数が1〜2問程度ですので、法学・経済学系で高得点が取れるようになり、さらに高得点を狙うという場合でなければ高校までの自分の勉強を信じて受けるしか無いと思います。やるとすればせいぜい地学と数学の公式の再確認くらいでしょうか(・ω・)ノ

教養試験のほとんどは「一般常識や国語力で解く問題」と「受験者の事務処理能力を試す問題」と「膨大な教養知識を問う問題」で、前者2つは多少訓練すればそれなりに解けるようになりますし(解けなければ諦めるしかない)、後者は範囲が広すぎて(少なくとも専門の2倍以上のボリュームで配点は半分以下、すなわちコスパ1/4)得点率を上げるメリットがさほどありません。したがって公務員試験を突破するにはとにかく専門試験対策が最重要というわけです(`・ω・′  )

 

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